ミリは唄をよく歌う。




その上空をとびたい、と言う。






くだらないし馬鹿みたいだしどうしようもないし。




いいなぁ鳥になりたい、とまた彼女は空を見上げていう。
そしてまた唄う。













I  c a n   f l y .   I   c a n   f l y .   





I   c a n   b e c o m e   a   w i n d ,   a n d   t h e   w o r l d   i s   t h r o w n   a w a y   t o   m e . . . . 
 








「なーミリ本気で鳥になりたいの?」
と俺が彼女に聞くと
「別に本気でそんなこといってるんじゃないけど」
と言った。
「っていうかそんな可愛いこというような年頃でもないしネー」
「俺は昔魚になりたかった」
「そういえば幼稚園の卒園アルバムにそんなこと書いてあった!あの頃は可愛かったのにねぇ恭ちゃん」
「・・・なんか失礼だね今の発言」
「別に深い意味はないよ」
「ふーん」
「あはははは、でもさ、だって今じゃ本気で魚になれるなんて思ってないでしょ流石の恭ちゃんでも」
「そりゃ思ってないけど。・・・ていうかまたなんか失礼な発言をしたねミリ」
「え、そ、う?」


そういって軽く笑うミリに俺も笑ってばーか、とかえす。




そういえば魚になりたかった。
今は別に何になりたいとか思ってなくて、そんなこと忘れてたけど。
ミリは「しょうらいのゆめ」の欄にきちんと
「おはなやさんになりたい」と書いてあった。
・・・はずなのになぁ。




生きていく間にだんだんと、いろいろなことを覚えていくうちにだんだんと、
失って、手に入れて、自分は何も出来ないって気付いて、
結局ひとは空に飛び立ちたくなってしまうのだろうか。








「…あーでもあたしは鳥になりたい、のかも、やっぱ」




ミリは俺を見ずに空を見つめてそういった。
その目線を追ったところで、きっと何も無いのだろう。
風がつよくてすこし震える。
飛んでいかないでください、どうか。




「ふーん」
自分でもわかるくらいに素っ気無い返事をかえす。
あ、本気で鳥になろうとか思ってるわけじゃなくてね、と焦った声。



「でもね、鳥って言ったって普通の鳥じゃ駄目なんだよ」




「どうせ何かになれるなら誰かを幸せにできる青い鳥になりたいなー、なんて」







ちょっと照れた顔で笑って言うミリはやっぱり遠い空みたいな青で、
羽の無い俺には届かない所にいるような気がした。

でも、ミリが青い鳥になったらあっという間に飛んでいってしまって

俺じゃない、他の誰かにめいっぱいの幸せを歌うんじゃないか、
と思ってすこしさびしくなった。

幸せになるのは俺とミリだけでいいと思う。
くだらないし馬鹿みたいだしどうしようもないけど。


それは俺のひとりよがりだとわかっていて、世界に対するどうしようもないエゴだと知っている。


だけどもしもミリが飛んでいってしまって

他の誰かを幸せにして、ミリも幸せになったのならば

俺は幸せになれるだろうか。

ミリが隣にいなくても、彼女が幸せであればそれでいいなんて

そんなことを俺が思えるかどうか。

そんなことを思える時がきたのならば、それは俺の中で青い鳥がいなくなった時だと思う。

悲しくなければ幸せなんて生まれない。
だからどうしようもなく悲しくなって、
つかめるかどうかわからない幸せを探して彷徨うなんてしませんように。



もしもミリが飛んでいってしまって

他の誰かを幸せにして、ミリも幸せになったのならば、

もしもそのせいで俺が幸せを探して裸足で歩き回ることになったのならば、

それはきっと、晴れた空のせいで、隣にいるミリのせいではないのだとおもう。





だけどどこかにいる、幸せの青い鳥のせいでもないのだとおもう。







. . . I   c a n   f l y   a l o n e   b y   b e c o m i n g   a i r ,   a n d   p u t t i n g   e v e r y t h i n g . 










(なんかあたし色をつかうはなしがおおいですね、そういえば。)(文章がめちゃくちゃなのでいつか直すかもしれませんごめんなさい)